『BUTTER』柚木麻子|あらすじと見どころを徹底解説【ネタバレなし】

 ミステリー小説として世界的にも評価され、英国のダガー賞候補にも選ばれた柚木麻子さんの小説『BUTTER』。

「女の欲望」「食と性」「現代の孤独」…
読み進めるほどに、バターのように濃厚で滑らか、そして危うい感情の世界へと引き込まれます。

今回は、そんな『BUTTER』のあらすじと魅力をネタバレなしで解説します。


🔸『BUTTER』はどんな小説?

『BUTTER』は2017年に刊行された柚木麻子さんの代表作。
本作は、実際に起きた“首都圏連続不審死事件”をモチーフにしており、
「料理が得意な女性が複数の男性を魅了し、殺人の疑いで逮捕された」という事実をヒントに、
作者独自の視点で大胆なフィクションとして再構築されています。

ジャンルとしてはミステリーでありながら、女性の内面に深く踏み込んだヒューマンドラマでもあります。


🔸あらすじ(ネタバレなし)

物語の語り手は、週刊誌の女性記者・里佳。
彼女は、結婚詐欺と殺人の容疑で逮捕された女・梶井真奈に興味を持ち、獄中取材を試みます。

真奈は、豊満な体型と濃厚な手料理で中年男性たちを虜にし、
結果として彼らを死に追いやった疑いがある女。

しかし、彼女は一貫して「私は殺していない」と語る。

取材を重ねるうちに、里佳は「真奈の料理」に惹かれ、やがて取材と私情の境界が曖昧になっていく――。

そこに浮かび上がるのは、「料理」「性」「愛」「孤独」…
そして、「女の欲望を語ることへの恐れ」でした。


🔸作品のテーマ:「女の本音」と「欲望」の肯定

本作の大きなテーマは、**「女性の本音と欲望」**です。

「女が料理で男を殺した」とセンセーショナルに報じられた事件に対し、
作者はあえて「なぜ女性が料理を作るのか」「誰のために生きているのか」を問い直します。

主人公・里佳は当初、自身の“普通”を守るために感情を封じて生きてきました。
しかし、真奈という「普通を逸脱した女」と向き合うことで、
自分の中の押し込めてきた欲望や空腹感に気づかされていきます。


🔸読みどころ①:料理描写が異常にリアル

本作のタイトルが『BUTTER』であることからもわかるように、食と欲望が密接に描かれています。

真奈が語るレシピや、彼女の料理の描写は、単なる“飯テロ”ではありません。
バターの香り、油のはねる音、包丁の音、素材の変化…。
それらはまるで、読者の五感を刺激しながら、人間の本能を揺さぶる装置のように機能しています。


🔸読みどころ②:女と女のスリリングな対話

本作のもうひとつの軸は、里佳と真奈という対照的な女性二人の関係性です。

一人は「正しく生きること」にこだわる女性記者。
もう一人は「本能のままに食べ、愛し、生きる」容疑者。

この2人の対話が、物語の核心をどんどん深堀りしていきます。


🔸この小説が高く評価された理由

『BUTTER』は、単なる“犯罪小説”ではありません。
メディアと世間の偏見、女性に求められる社会的役割、そして自分自身の欲望との向き合い方など、
多層的なテーマを含んでいます。

その重層的な描き方と、柚木麻子氏の緻密な心理描写が、今回の英国ダガー賞翻訳部門ノミネートという快挙にもつながったといえるでしょう。


🔸まとめ:読むことで自分の中の「バター」に気づく一冊

『BUTTER』は、ミステリーの体裁を取りながらも、
読み終えたときに**「私の中にも“欲望”がある」と気づかされる一冊**です。

自分の人生を自分で選んでいるつもりでも、
実は誰かのレールに乗っているだけかもしれない。

そんな疑念をやさしく、しかし確実に突きつけてくる小説です。


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